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わたしの一生なんて、あなたから見たら短いものだとおもいます。
あなたが卒業したり就職したり、結婚したり・・・・ひょっとして離婚とか?
とにかくそんなあなたの人生のうれしいことや悲しいことに、
果たしてどこまでおつき合いできることか。
だってそうでしょう。
あなたが思春期と呼ばれる頃にヨチヨチ歩きのわたしに出会ったとして、
あなたはその時点でわたしにとって神様みたいな存在です。
食事を出してくれたり散歩に連れていってくれたり、時には体を洗ってくれたり。
なにもわからないわたしにとって、
快適な生活を保護してくれる唯一の存在なのですから。

でもそんなわたしが10年くらいすると、
恋で悩むあなたよりずっと先輩になってしまうのです。
わたしが言葉をしゃべれたら、少しくらいアドバイスだってできるかもしれない・・・。
特にあなたの姿が見えず、長いこと一人ぼっちにされたりするととても不安です。
あなたが帰ってこなかったらどうしょう。
このままだれも現れなかったらどうしょう。
と、頭の中がその思いでいっぱいになってしまいます。
不思議なもので、そういう時はなおさらお腹が空くものなのです。
ひどい時はパニックになって、近くの物をひっくり返してしまうといった
粗相をしでかすことだってあるかもしれない。

だから、どうか初めにお願いです。
わたしを飼ってくれるなら、そんなわたしのことを忘れないでください。

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